ブランドのロゴを中心としたブランドアイデンティティの変更はそのブランドにとっては非常に大きな変化を伴う施策である。なにせブランドの顔を変えるのだから。その変更にはブランド方針や経営上の変革の意思を込めたものであることが多い。
今回GMのロゴ変更では業界の変化に伴う事業の変革への意思を示すものである。
GMブランドとは?
GM(General Motors|ゼネラル・モーターズ)という自動車会社は日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、米国の自動車業界ではBig 3と言われ、一時期はGM帝国や「GMは国家なり」などと言われていたメーカーです。シボレー、ビュイック、キャディラック、GMCなどのブランドを保有しています。
GMロゴ変更の背景
自動車業界全体の変化が今回のGMロゴ変更の背景としてある。
自動車業界は100年以上前に誕生し、ガソリンにより駆動するエンジンが動力として長らく主流を占めた。しかしこのガソリンエンジンは環境への負荷が非常に高く、社会問題と化していた。そんな中トヨタ自動車のプリウスが初めて電気モーターを動力として活用したハイブリッド(HV)自動車を1997年に市場投入した。さらに量産モデルとしては世界初となるi-MiEVを三菱自動車が2009年に販売開始した。当時は電気自動車はコストも高く、航続距離が短く、充電設備も整っていなかったため、ニッチなカテゴリーであった。しかし環境意識の高まりから自動車ブランド各社はHVやプラグインHV、そして電気自動車、燃料電池車(FCV)などの電気プラスモーターを動力とする商品の投入を加速させていった。そして政府による電気自動車優遇施策や将来的なガソリン自動車販売の禁止宣言なども相まって、近い将来は電気自動車が主流となることが予測されている。
そんな中自動車ブランド各社はガソリンエンジン車との決別を宣言するケースが増えてきている。
- メルセデス・ベンツが2030年にもEV専業メーカー宣言
- ボルボが2030年以降ガソリン車やHV車の販売を終了
- アウディが2026年以降に販売する新型車を全てEVとすると宣言
- 本田が2040年を目処に販売する全車種をEVとFCVにすると宣言
この世界的な自動車業界の変革の中、各社はいかに電気自動車としてのブランドイメージを獲得するか、競争が激しくなっているのだ。
GMロゴの変更内容とは?
今回のロゴ変更はゼロエミッション(有害な排出ガスゼロ)の未来の綺麗な空とEV(電気自動車)プラットフォームのエネルギーをイメージしたとのこと。
以下がブランドロゴの主要な変更点である。
- GMにかかっていたアンダーラインがmのみにかかるラインへ(これはEVプラットフォームや電気プラグがモチーフとなっている)
- 従来キーカラーは濃い青色だったが、鮮やかな青色になり爽やかなイメージへ
- GMの文字が大文字から小文字へ
General Motors 公式Twitterアカウントで旧ロゴから新ロゴへの変化がわかりやすい動画がアップロードされています。
GMロゴ変更に対する反響は?
今回のロゴ変更においてGMはEVブランドへの変革に対する本気度を示した。ブランドイメージもこれまでの強さや伝統的なものから親しみやすく活気のあるものへ大きく変えていく意思が見られる。ただ、今回大きなイメージのシフトとなり米国では、これまでの伝統やアセットを捨てすぎだという反対意見もあるようだ。今後のブランドロゴ変更が成功だったのか失敗だったのか、今後のGMのブランドイメージの変化やビジネスによって判断されるだろう。
今後の自動車ブランドの変革
自動車業界はこれまでにない大きな変革期にある。ブランドロゴの変更はブランドにとっての大きな変革であり、今回GMのブランドロゴはこの業界とブランド方針の変革が合わさったものであり、示す方向性がわかりやすい施策となった。
この変更によって社内外へ変革をアピールできるのだ。社内としても電気自動車ブランドへの変革を強烈に意識することだろう。このようなロゴ変更はインナーブランディングにも効果的なのだ。
そして今後GMだけではなく他の競合ブランドもブランドイメージの変革に迫られるであろう。ブランドロゴをはじめとしたブランドアイデンティティやブランド方針そのものを修正していくブランドが増えてくると考えられる。今後自動車業界でのブランディングやリブランディングに目が離せない。